第67話「フルトヴェングラーとフィルハーモニア管弦楽団(6)〜ベートーヴェン・サイクル」 |
テープ132キロメートルに及ぶ1952年録音「トリスタンとイゾルデ」の成功は、フルトヴェングラーのウォルター・レッグに対する感情を和らげたようで、以降プログラムやスケジュール調整に関するやりとりが煩雑に行われました。
実現したのがベートーヴェン・サイクルで、1954年のルツェルン音楽祭でクライマックスを迎えます。
(演奏会)
1953年3月27日 ベートーヴェン/「エグモント」序曲 ベートーヴェン/交響曲第6番 ベートーヴェン/交響曲第7番
1953年3月12日 ベートーヴェン/交響曲第4番 ベートーヴェン/「レオノーレ」序曲第2番 ベートーヴェン/交響曲第5番
(録音)
1953年4月7日〜8日 ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲(ユーディ・メニューイン)
1953年4月9日 ベートーヴェン/ロマンス第1番、第2番(ユーディ・メニューイン)
1953年9月12日〜13日 バルトーク/ヴァイオリン協奏曲第2番(ユーディ・メニューイン)
(ルツェルン音楽祭)
1954年8月21、22日 ベートーヴェン/交響曲第9番 エリザベート・シュワルツコップ、エルザ・カヴェルチ、エルンスト・ヘフリガー、オットー・エーデルマン ルツェルン音楽祭合唱団 22日の放送録音が残っていて、「ルツェルンの第9」と呼ばれています。
1954年8月25日 ハイドン/交響曲第88番「V字」 ブルックナー/交響曲第7番
「ウォルター・レッグ/言葉と音楽」(アラン・サンダース著、Routledge、1998)の後書きにシュワルツコップがエピソードを寄せています。
…ルツェルンで最後のベートーヴェンの第9交響曲を2度演奏した翌朝、わたしたちはチューリヒ行きの列車の中で会いました。彼は微笑みながら私にこんなことを言いました「シュワルツコップさん、そのうちあなたの(演奏)リストから第9を消してもらえますか。何年かするとあなたと同じくらい一流の第9ソプラノが大勢出てきます。彼女らの声質はもっとドラマティックになりそうなんですよ。」… |
2004年12月18日 15時05分08秒
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