第270話「まぼろしの美しく青きドナウ」で話題にしたヨゼフ・クリップスのワルツ「美しく青きドナウ」。1947年10月17日、指揮者と契約したばかりのデッカと当日オーケストラとの契約が終了するナショナル交響楽団(NSO)による最期の録音。デッカの誇るffrr録音((Full Frequency Range Recording、全周波数帯域録音)によるKシリーズの1枚(K1725)。デッカは1980年にポリグラムの傘下に入った際、メタル原盤を全て廃棄したと言いますので、こういった復活は大変珍しく、貴重。
パーシー・グレインジャーの「ロンドンデリーの歌」のおしまいのところでデニス・ブレインは比類なきソロを吹きました。ジョージ・ウェルドンが1956年3月14日、キングスウェイ・ホールで録音したEP盤(Columbia SED 5547)のことを示します。
この曲にもう1種類ブレイン時代の録音があることは知りませんでした(American Columbia RL 3042)。1949年1月6日、アビー・ロード、指揮者はウォーリック・ブレイスウェイト(1896-1971)。グレインジャーはさまざまな編成による編曲版を残したといいますが、この録音でもホルンが鳴っているように聞こえて仕方がありません。なのにマーシャルの労作「デニス・ブレインのレコード」にこの1949年録音は載っていない。みなさまはどう思われますか?
ICRC1996年夏号、マイケル・グレイによる記事『両耳で聞く』で、今日ではバイノーラルとステレオという言葉は、音の録音と再生の2つのまったく異なる方法であり、1953年のウィリアム B. スノーの論文によれば、バイノーラル・システムはリスナーを元のシーンに連れていく、一方でステレオ・システムは音源をリスナーの部屋に再現する…。
昨年Sommから発売された「Thomas Beecham Conducts Richard Strauss」はビーチャムお得意でホルンが大活躍する「町人貴族」がメイン・タイトル。1956年10月17日録音というのでデニス・ブレインが久々ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(RPO)のコンサートに復帰している可能性もある、という訳でサンプルを試聴しました。