
1999年夏、ロンドン、パックスマンにて(山田淳さん撮影)
英国ホルン協会誌「ホルンプレーヤーズ」最新号がデニス・ブレインの伝記作家スティーヴン・ペティットさんが、2015年3月に亡くなったことを伝えました。
彼の著作無くして、今日の自分はなく、ただただご冥福を祈るのみです。
1976年、ロンドンのロバート・ヘイル社より出版されたペティットさんのデニス・ブレイン伝 Dennis Brain A biography がこの日本で紹介されたのは、恐らく1980年10月に発売された日本コロンビアのLP「デニス・ブレインの芸術」OW-7218-BS の三浦淳史さんによる解説文ではなかったかと思います。それまでは三浦さんの著作でブレインのドラマチックな生涯における数々のエピソードに触れていましたが、いつか原著で読みたいものと思うようになりました。
当時はもちろんインターネットはなく、洋書の入手はあまり一般的ではありませんでした。年月は流れ1991年になったある日、新聞で群馬県にお住まいの外国人の方が洋書を取り寄せるサービスをされているのを知りました。飛びつくように注文し届いたのがその1976年初版本。辞書を引き引き訳文を書き記すのと、付録のディスコグラフィーを片手に秋葉原、御茶ノ水界隈のショップを徘徊してブレインが録音に参加したディスクを漁る日々が始まりました。
伝記の和訳が進むにつれ、芽生えた仄かな目標がその出版。とはういうものの素人翻訳は亀よりも遅く、終えたのは1999年春となりました。そんなある日、近くの書店でうず高く積まれた「奇跡のホルン/デニス・ブレインと英国楽壇」に遭遇。奥付に1998年11月20日の日付と、訳者に山田淳さんのお名前。軽い目眩を覚えました。
ペティットさんと山田淳さん