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第90話「モーツァルト/12のホルン二重奏曲 K.487/496a」
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト デニス・ブレインが講演リサイタル「初期のホルン」でその第12曲を紹介したホルン二重奏曲。曲によって余りにも高い音が出てくるためにバセット・ホルンを想定したものと解説しました。第2曲や5曲はホルンを吹き始めたばかりの私にホルンやアンサンブルの面白味を教えてくれた曲です。

 レコードは協奏曲や五重奏曲と比べて数が少ないものの、モーツァルト・ホルン作品全集に自筆譜の残る第1、3、6曲を一人二役で録音したタックウェル、全曲を見事譜面通りに吹き通したORTFのフルニエとガンティエのもの、CDにはナチュラル・ホルンによるものもあります。近年ハンス・ピッカやエドモン・ルロワールのように曲によって主音階を下げて演奏するアプローチもあるようです。

 インターネット上で楽譜やMIDIも公開されています。
2005年12月28日 22時46分17秒

第89話「プーニェ、リドル、ピーニ」
 評論社のレコード・ガイド(昭和44年発行)に、「愛惜おくあたわざる室内楽の名曲」としてベートーヴェンのセレナード ニ長調(作品8)と弦楽三重奏曲 ハ短調(作品9の3)のレコードが紹介されています。

 ウェストミンスターのモノラル・レコードで、ジャン・プーニェ(vn)、フレデリック・リドル(va)、アンソニー・ピーニ(vc)による演奏。解説に「旋律をたっぷり歌わせたウィーン風の典雅な演奏は、曲の良さも手伝って聴く者を飽きさせません」とあります。

 3人ともフィルハーモニア管弦楽団の前身、フィルハーモニア弦楽四重奏団のメンバーで、特にプーニェはデニス・ブレインとトリオを組んだ人。いつかは聴いてみたいものと思いながら35年余りの年月が流れてしまいました。

ジャン・プーニェ(1907-1968)

 英国のヴァイオリン奏者。1942年から1945年までLPO、戦後はBBCパーム・コート・オーケストラ(軽音楽団)のコンサート・マスターで室内楽の名手。1946年11月、サー・トーマス・ビーチャム/RPOとディーリアスのヴァイオリン協奏曲を録音(EMI)。
2005年12月02日 22時58分41秒

第88話「ジークフリートのホルン・コール」
 1954年6月25日、デニス・ブレインは、依頼によりコヴェントガーデン王立歌劇場でヴァーグナーの「ジークフリート」第2幕のジークフリートのホルン・コールを吹きました。この日はフリッツ・スティードリーの指揮で、セット・スヴァンホルムがジークフリート役。BBC第3番組の録音テープは、長い間隠れたコレクターズ・アイテムとなっていましたが、2005年7月、英Pearlの2枚組CD(GEMS0230)で飛び出しました。
2005年11月27日 19時26分46秒

第87話「ゴードン・ヤコブ(1895-1984)」
 昭和40年代から我が国でゴードン・ジェイコブのことをかく呼んできたのは、彼がユダヤ人だからなんだろうか。確かにイエス・キリストのことをジーザス・クライストと言うのは妙だけれど、ロンドン生まれの王立音楽大学(RCM)教授でマルコム・アーノルドの先生であり、デニス・ブレインのために素晴らしいホルン協奏曲を書いてくれた大作曲家をお国での呼び方でジェイコブと呼ぼうではありませんか。
2005年11月19日 07時32分02秒

第86話「ダグラス・ムーア思い出話(3)」
 あるときメイダベイル・スタジオの入口でちょうど出てくるところのデニス・ブレインに会いました。デニスは、最近放送されたラヴェルの「ダフニスとクロエ」を聞いたと声をかけてくれました。そして「あのパッセージ一体どうやって吹いたの」と…。実を言うと私はもうちょっとやり方があったとも、いつかアドバイスしてもらおうとも考えていたので、彼の方から話してくれたのには驚きました。(おわり)
2005年11月16日 20時03分19秒

第85話「ダグラス・ムーア思い出話(2)」
 BBCでヒンデミットの協奏曲を演奏した後、デニス・ブレインがやってきました。「きみのヒンデミット、良かったよ」デニスは言いました。「第1楽章は退屈だよね。」
2005年11月10日 21時35分58秒

第84話「ファルスタッフの死」
 英映画「ヘンリィ五世」(1946)のファルスタッフの臨終シーン。ヴェルディの歌劇で大騒ぎしたクイックリー夫人や手下のピストルも登場し、不良老人の孤独な最期を嘆くことしきり。その時流れるのがもの悲しいパッサカリア「ファルスタッフの死」です。

 映画音楽の作曲家ウォルトンはこの曲を特に好んで「弦楽のための2つの小品」に改編。1945年10月12日、デビュー前のフィルハーモニア弦楽オーケストラを指揮してレコード録音しました。
2005年11月06日 21時54分37秒

第83話「ダグラス・ムーア思い出話(1)」
 カラヤンがデニス・ブレインとフィルハーモニア管弦楽団にモーツァルトの協奏曲のリハーサルをつけていたときのことです。自動車雑誌を読むことに忙しいソリストにカラヤンが指揮棒を置いて「ミスター・ブレイン、私がキューを出しているのどうして吹く構えをしないの?」「あっカラヤンさん、あなたにぴったりの車を見つけたんです!」カラヤンはデニスに指揮台のところまでその車を見せにくるように言いました。たぶん当時人気のフェラーリかアストン・マーティンだったと思います。

ダグラス・ムーア(b1918)

 ロイヤル・アカデミーでデニス・ブレインとともに父オーブリーに学ぶ。1937年〜1969年までBBC交響楽団。デニスがモーツァルトの協奏曲を全曲録音した1953年のみフィルハーモニア管弦楽団にも在籍した。
2005年09月16日 20時43分10秒

第82話「ミュージック・イン・エア・フォース・ブルー(3)」
訪米中の英国空軍交響楽団(1945年) 番組で放送された音楽のうち、「水上の音楽」と「風変りな店」は、HMVの試作レコード(1944年頃録音)といいますから驚きです。

 これまでR.P.オドンネル中佐と英国空軍交響楽団による録音は、ピアノのデーム・マイラ・ヘスとナショナル・ギャラリーで協演したモーツァルトのピアノ協奏曲第17番ト長調K.453(映画)のみが知られていました。

 こちらもこの夏、英Beulah社からDVDで再発されました。兄レナードの背後にデニス・ブレインと思われるホルン奏者が見え隠れしていると言われます。
2005年07月13日 21時09分34秒

第81話「ミュージック・イン・エア・フォース・ブルー(2)」
英国空軍音楽隊 ラジオ番組のタイトルは、英国空軍(RAF)の制服の色から由来しています。番組で使われた音楽は、ヘンデル(ハーティ編)「水上の音楽」、B.ブリテンのプロパガンダ放送音楽「英国のアメリカ人」、スーザ「星条旗よ永遠なれ」、ホルスト「惑星」から木星、ロッシーニ・レスピーギ「風変りな店」ほか。スーザの行進曲以外はいずれも空軍交響楽団による演奏。

 指揮はR.P.オドンネル。ヘンデルのエアーにはカラヤンとフィルハーモニア管弦楽団によるレコード同様、デニス・ブレインの美しいロング・トーンが聞けるとか。イギリスの人々は折り良く再発されたCDと聞き比べが出来たのではないでしょうか。
2005年07月10日 20時40分08秒

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