第136話「三つ目のコシ」 |
スイスのCDレーベル、Guildmusic が1951年7月5日に行われたグラインドボーン音楽祭「コシ・ファン・トゥッテ」のライブ録音をCD化しました。指揮者のフリッツ・ブッシュとグラインドボーン祝祭管弦楽団(実体はロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団)は、その前年の1950年、同じオペラの抜粋をHMVに録音しており、その何れにもデニス・ブレインが参加しています(もう一つは、ヘルベルト・フォン・カラヤンとフィルハーモニア管弦楽団による全曲録音)。
今回の音源は、英国の愛好家がBBC放送を78回転でアセテート盤に録音したものと、ドイツのコレクター所有の録音テープ。欠損している序曲は1935年のHMV録音から、第1幕の Un' aura amorosa の後半部分など全体で序曲を除く10分余りが1935年録音や同じブッシュによる1940年ストックホルム王立歌劇場でのライブ録音で補われている、とは言うものの新発見の全曲録音に違いはなく、1950年録音が出演歌手の専属契約の問題から、全曲ではなく抜粋となった経緯からも大変貴重なものです。
注目のホルンのオブリガート付きアリア、第2幕の Per Pieta, ben mio については、主役のユリナッチ、ブレインとも好調で「乗り」が1950年のレコード録音を超えていると感じます。実際観客の拍手喝采がオーケストラの演奏終了を待たずに沸き起こりました。
グラインドボーン・オペラの「コシ」は、1951年7月23日、今度はBBCテレビで中継されましたが、こうなってくるとブレインが参加した4番目の「コシ」としてDVDで陽の目を見る可能性もなくはないと思えてきました。 |
2010年03月07日 20時59分40秒
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