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140.ブルックナー七番

name: 夢中人 - 2002年09月14日 7時56分46秒

1984年5月18日、三軒茶屋の昭和女子大学人見記念講堂でバイエルン放送交響楽団 Das Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks のブルックナーの7番を聴きました(当時はまだ独身で、今と違って贅沢にもウィーン・フィルが来る、ギャルドが来るという度に演奏会に足を運んでいました)。

ホルンはヒナ段右端二列にズラッと並んでいて、トップはジャック・メレディスとヨハネス・リツコウスキの二人。ブルックナーがワーグナーの死を予感し、また書き終わった時に、その死を伝えられたという第2楽章から、後列の奏者がワーグナー・チューバに持ち替えました。

実際に楽器を見たのはその時が初めてだったもので、まずその縦長の形状(チューバだから当たり前かもしれませんが)と朝顔の向き(頭上左横方向)に驚きました。記譜がどうなっているのか、マウスピースや吹奏感がどう違うのか、音域はどの辺りなのか、そもそも何でホルン吹きがチューバを吹くのかなどとゴチャゴチャ思いながら聴いていました。

音色は弱く吹いているとあまり判りませんでしたけれども、強奏時暗く、冷たく下腹に沁みるように聞こえました。演奏終了後ホルンのトップのリツコウスキが上の段のワーグナー・チューバとガッチリ握手を交わしていたのが印象に残りました。オーケストラのあるミュンヘンは「ホルンのヨアヒム」と呼ばれたフランツ・シュトラウス(リヒャルトの父)以来伝統のホルンの王国で、バイエルン放送のメンバーが極めて優秀だったのは言うまでもありません。

また蛇足ですが、クラリネットの3番目に騒動を引き起こすことになるザビーネ・マイヤー嬢の名前があったことを書き添えます。

参考文献にレコード芸術1959年(昭和34年)6月号のリヒャルト・シュトラウスの協奏曲の新譜評を掲載 article8.html しました。また下の画像はオリジナルLP(フランス盤)ジャケットに描かれた父フランツ・シュトラウスです。
フランツ・シュトラウスの肖像

139.クリュイタンス/パリ・オペラ座管弦楽団のワーグナーも

name: Favart - 2002年09月14日 0時26分16秒

ようやくCD復刻されたとのこと。「ラインへの旅」もあるようです。こちらはテヴェかもしれません。まだ聴いていませんが・・・。ついでにクリュイタンス/ORTFの「シェヘラザード」もようやくCD復刻されました。こちらはクルティナorアンドレ・フルニエかもしれません。ホルンに詳しい方、鑑定結果を教えてください。(どちらも、日本初復刻CDだったかも)


138.ジークフリートのホルン・コール

name: 夢中人 - 2002年09月13日 21時33分29秒

皆さん!お話の途中ですが、サー・トーマス・ビーチャムのワーグナー管弦楽曲集(Sony classical UK、SMK 89889)をもうお聴きになられましたか?「さまよえるオランダ人」序曲や楽劇「神々の黄昏」からあのホルン・コールを含む「ジークフリートのラインへの旅」、「ジークフリートの葬送行進曲」などなど。

録音日付がデニス・ブレインがロイヤル・フィルハーモニーを辞めた1954年4月7日より後だから、デニス・ブレインじゃないかもしれない、と指摘する人もいますけれども、このディスクを聴いたいま、もう誰が何と言おうとデニス・ブレインに間違いありません。

ワーグナーはウィーン・フィルでなくちゃ、とかクナッパーツブッシュでなくちゃという考えもおありかと思いますが、ビーチャム(結構ワーグナー振るの上手いです)をして「ホルンのジークフリート」と言わしめたホルンの天才が高く、激しく吹きまくる、中庸を美徳とするロンドンのオーケストラが一番輝いていた頃のモニュメントに、私の心は感激と興奮で揺れ動きました。

Sony Classical(UK) のウェブサイトは、何故かビーチャムの新譜の予告を発表しなかったし、所属アーチストの B の欄に Beecham, Sir Thomas を載せない、要は全く無視を決め込んでいますが、実際はアーカイヴから全部CDにする気じゃないでしょうか。


137.ブルックナー八番

name: CATO - 2002年09月13日 14時12分35秒

【フランス系の奏者、特にルシアン・テヴェのホルンを聴くと馬力とは違った魅力でいっぱいです。たまにはこちらもいかがでしょうか。】とおっしゃるFavartさん他にもブレイン以外の名人の名前を教えてもらってありがたいです。そのうち感想を掲示させてもらいます。

どうも皆さんの徹底した探求と記憶・記録の掲示に比較して、話が荒くなってますが、ついでにここで感想を一つ。
最近、ホルンの素晴らしさを再認識したきっかけとして、ブーレーズがウイーンフィルでブルックナーの八番を演奏したDVD(TDKコア)があります。ブーレーズがDVDの中のインタビューで語っているように「響きに自然に語らせた」演奏は、ブルックナーオタクの間では余り評価されていないように見受けられますが私にとっては極めて大切なブル8です。フローリアン教会の映像と楽器群のアップ。年齢を重ねて衒いなくどっぷりと調性音楽に没頭しているブーレーズの表情がいい。見ものききものです。
昔カラヤンがビデオを出し始めたとき、余りに過剰な映像演出(きれいに高さが揃ったホルンのベルにピカリと反射する黄金の光!!!等々)に辟易して、画像なんかいらんと思ったのとは対照的に、ホルンを含む金管群を初めオーケストラ全体の息吹が自然に映像化されています。ライブです。二段で控えたホルン。名前は知りませんが、上段には昔ながらの高年群の顔、そして下段に若手が見えます。第二楽章スケルツォでの低音担当群が一つの見ものききものです。恥ずかしながら、このDVDで初めてワーグナーチューバへの持ち替え箇所を知ることができました。というわけで、ホルンの素晴らしさを再認識できたDVDでした。


136.狩のカンタータ(2)

name: Favart - 2002年09月12日 22時13分47秒

>「肝心のリサイタルの部分のテープをBBCが借用中に何と誤って消去してしまいました。」
本当に残念です。けれども、ブランデンブルク協奏曲第1番の演奏を聴いていると、狩のカンタータでのDBの演奏を想像することができます。きっと、折り目正い演奏で、天の上から響きわたるようなホルンの音と思います。
BBCのREGL352は奇しくもエディンバラ音楽祭の演奏日と同じ8月24日に入手することができました。「初期のホルン」の演奏が少しでも入っているかと思って期待していましたが、残念。8月24日から命日まではほんのつかの間でした。
>CATO様
「やはりホルンには馬力が前提なんですね。」とのご意見ですが、必ずしもそうとは言えないと思います。フランス系の奏者、特にルシアン・テヴェのホルンを聴くと馬力とは違った魅力でいっぱいです。たまにはこちらもいかがでしょうか。


135.ウィーン・ブラス

name: 坂本直樹 - 2002年09月12日 20時55分02秒

という名で、ウィーン・フィル主体のブラス・アンサンブルが先日我が佐倉の町でも演奏会を持ちました。
ホルンはトンペック・ジュニアでした。その、マゼールと来た時のビデオを見てうまい人だと思っていたのですが、しばらく低迷していたらしいですね。
(顔も、ちょっとブレインに似てると思いませんか?)
音楽ホールの人に聞いたら、音楽事務所の人は「(団体の中で)ホルンがダントツ(にうまい)」と言っていたそうです。
終演後、ステージに残された持ち替えのペットを、事務所の人が片付けに出てきて驚いたのですが、その頃はもう、舞台脇でビールを飲んでいたらしいです。


134.ウィーン・フィルハーモニー

name: CATO - 2002年09月12日 11時00分38秒

それはなんともうらやましいです。昨年小沢=ウィーンフィルをのブラ2を聴いた友人も、ホルンの生の凄さを語っていました。

ついでに、多分夢中人さんも体験された昔話です。
若かりし頃、大阪国際フェスティバルには金も無いのによく通ってまして、私の生ホルン感激度首位の経験もしました。それは、コンセルトヘボウのべー7でした。会場全体を波立たせるような凄いうねりの第二楽章、そして強い音のホルンの咆哮。紋切り型の表現ですが、肉食人種の鳴らす角笛という原点を思い知らされました。やはりホルンには馬力が前提なんですね。


133.狩のカンタータ

name: Favart - 2002年09月11日 23時50分24秒

夢中人様
例によって、ちょっとうかがいたいのですがDBが「初期のホルン」で演奏したバッハのカンタータBWV208はCD、LPなどでは聴けないのでしょうか?高校1年の時からの私のお気に入りの曲なのです。ブロック・フレーテ2本のオブリガートつきのソプラノのアリアは絶品です(ヤコバイト/ブリュッヘン、ホルンはボス、クラレイス)。ブレインの演奏は多分冒頭のアリアと思いますが。

講演リサイタル「初期のホルン」、1955年7月23日BBC第3放送のラジオ番組。デニス・ブレインを称えるLP「デニス・ブレイン〜偉大なるホルン奏者に捧ぐ」(BBC records REGL352、P1979)のA面の最後にその抜粋(7分足らず)が収められました。BBCは自ら制作した番組の録音テープを保存していなかった為、ハイドン・オーケストラの指揮者として番組に出演したハリー・ニューストンとブリストル大学音楽科の主任教授、ケネス・モッブズの二人が個人的に所有していたテープを借り受けLPの音源に使用しました。LPに入ったのは、番組の前置きにあたる講演の部分で、デニス・ブレインの肉声が聞けるという意味で大変重要なのですが、肝心のリサイタルの部分のテープをBBCが借用中に何と誤って消去してしまいました。ケネス・モッブズ教授はコピーを持っていなかったので、大変怒ったといいますが、貴重な録音のオリジナルはもう二度と戻ってきませんでした。

妙なことにスティーヴン・ペティットによる伝記のディスコグラフィーには消去されたリサイタル部分の曲目と上記BBCレコードの番号が記載された為、LP化されたように考えてしまいますが、リサイタル部分はかって一度もレコード(CD)化されたことはありません。本当に残念なことです。

BBCは2000年、2001年とデニス・ブレインをタイトルロールにしたCDを出して、その後者(BBCL 4066-2)に再度「初期のホルン」の抜粋(さらに短い4分ちょっと)を収めました。ブックレットに音源提供者であるニューストンやモッブズ教授の名前はどこにも見当たらないのは、もう時効?という訳でしょうか。 夢中人

Lecture-recital on 'The Early Horn'

<<Lecture>>
Britten Serenade : Prologue(on 1818 Raoux hand-horn)
Anonymous Two Hunting Calls (From a 17th-Century Cor de Chasse Treatise)
Mozart Duet for Two Horns in B flat K487/12

<<Recital>>
Handel Minuet from Water Music
Bach Cantata No.208 'Was mir behagt' for soprano, 2 horns, continuo
Vivaldi Concerto in F for 2 horns
Mozart Concerto No.1 in D K412 played on 1818 Raoux hand-horn
Mozart Fragment from Concerto in E K98a (first performance in modern times)
Rosetti Finale from Concerto in E flat : Rondo
Schubert Auf dem Strom for soprano, horn, and piano

Dennis Brain, Neill Sanders(hr), Jacqueline Delman(sop)


132.イッセルシュテット=ウイーンフィル

name: CATO - 2002年09月11日 7時40分13秒

熱心度によりますが、そんなには実演でこのきかせどころを経験できないでしょう。生では意識的に割るのではなく、割れてしまう演奏が多かったような気がします。また、最高音は例外なく必死で搾り出す苦しさが感じられます。それと1stとお付の力量に差があると、ここは綺麗にしまりませんね。セカンドに名手がいると俄然よくなる気がしました。

録音では、イッセルシュテット=ウイーンフィルの演奏が良かったです。
ウイーンフィルのホルンは生で聴くと格別なようですが、残念ながら私は未経験です。

CATOさん、どうも!夢中人は一生に一度の Sinfonia Eroica by ウィーン・フィルハーモニー体験あります。1984年4月20日、NHKホール、指揮はロリン・マゼル。ベートーヴェンの8番と3番というプログラムでした。二管編成は全部倍(エロイカのホルンは3×2=6!)になっていた記憶があります。音はとにかく大きかったですね。終楽章のコーダなんか、ホルンとティンパニの轟音しか聞こえませんでした。

楽員名簿の●ホルンには、ローラント・ベルガー、ギュンター・ヘグナー、ウォルフガング・トンペック・ジュニア、フォルカー・アルトマン、ウィリバルト・ヤーネヴィチ、ローラント・ホルヴァート、フランツ・ゼルナー、ウォルフガング・トンペック、ヨハン・フィッシャーとありますが、翌21日、NHKテレビ中継されたマーラーの5番でソロをベルガーと違う若い人(トンペック・ジュニア)が吹いているのを見て、アレッと驚きました。

131.エロイカのホルン・コール

name: 夢中人 - 2002年09月11日 0時14分11秒

ベートーヴェンの交響曲第3番「エロイカ」のお目当て、第3楽章にある3本のホルン・コール。デニス・ブレインはエロイカを3度、トーマス・ビーチャム/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(RPO)とフィルハーモニア(ヘルベルト・フォン・カラヤンとオットー・クレンペラー)、録音しましたが、ドミソ(E♭、G、B♭)から最高(低)音のE♭まで上昇(下降)するアクロバット、約1分間の興奮です。

3本がエイ、エイと登って、途中で誤って(?)一番下まで落っこちる奴もいたりして、とにかく痛快。デニス・ブレイン率いるPO、RPOのホルン3人衆の演奏も三者三様。ビーチャム(1951年録音)は3本の動きが一番明瞭、カラヤン(1952年)とクレンペラー(1955年)は音を割って迫力を出し勇壮。超速カラヤンと遅いクレンペラーでは、ホルン・コールの開始が30秒ほども違う。

RPOはデニス・ブレイン、イアン・ビアズ、(多分)エミール・ボルスドルフ、フィルハーモニアはデニス・ブレイン、ニール・サンダース、(多分)エドムンド・チャップマンでいずれ劣らぬ達者揃いです。


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