Y 忘れざるルシアン・テーヴェ Z
掲示板(231-239)


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2002年1月13日夢中人


239.ホルン重奏の楽しみ

投稿者:夢中人 - 2002年01月06日 22時33分59秒

オーケストラに在籍された方はきっと経験がおありでしょうが、練習の合間などに一人のホルン吹きが「魔弾の射手」を吹き出すと必ずほかのホルン吹きが音を付けます。若い時、ある大学オケに(エキス)トラで行ったところ、そこのホルン達が本番直前にホルンの勇壮なオブリガートで有名なベートーヴェンの歌劇「フィデリオ」のアリア「来れ希望よ」を高らかに吹奏して気合を入れたのには驚きました。

ソシエテのレコードでも、カール・シューリヒトのベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」―スケルツォやアンドレ・クリュイタンスのベルリオーズ/劇的交響曲「ロミオとジュリエット」―マブ王女のスケルツォなどで素晴らしく息の合ったホルンの重奏を聴くことが出来ます。中でもロジェ・デゾミエールのドリーブ/バレエ組曲「シルヴィア」の第1曲前奏曲と狩りの女神は、ホルンの魅力的なソロと重奏の醍醐味を味わえる1曲です。テヴェは例によって艶やかな音色で狩りのホルンを吹き鳴らしますが、圧巻は、曲の終わりのたたみ掛けるように速い4本のホルン・コールで、ちょっと他にはない凄いハーモニーを聴かせます。その間僅か30秒足らずですが、ホルン吹きの魂を熱くする音楽です。

ところで今日、図書館で團伊玖磨編『朝日小辞典/オーケストラ』(朝日新聞社、1977年発行)のパリ音楽院管弦楽団(パリ管弦楽団)の項を見ていますと、最後に「なお一旦解消が伝えられたが、パリ音楽院管弦楽団の名による演奏活動は現在も続けられている。」とあり驚きました。音楽学校のオーケストラなのでしょうか。
テヴェが演奏したドリーブ/バレエ組曲「シルヴィア」には、ルイ・フーレスティエ指揮パリ国立歌劇場管弦楽団のレコード(LA VOIX DE SON MAITRE FALP101)もあります。これまた木下さんからお寄せ頂きました。

238.あけましておめでとうございます

投稿者:大山幸彦 - 2002年01月06日 20時49分10秒

明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。
kobaさん、ありがとうございます。大変たすかりました。遅くなりすみません。
名前は明かしませんがギャルドにいた高名なクラ奏者に「テヴェの奏法は過去のものだ」といわれ面食らったことがあります。まさか僕が弟子とも思わなかったのでしょうが。彼はまさにブトリ時代の方でした。ご指摘のように初回来日の時と二回目では価値観が違うので同一の物差しでは計れないでしょうね!

結局ソシエテに代表される時代と、その後の時代は価値観がまるで違うので、あまり連綿と続いた歴史が変化した、というより全く別物である、と考えた方がいいかも知れません。我々はすぐ比較文化論をしたがりますが、そんなことよりも我々の好きな時代にぱっとはいっていったほうがいいのかもしれません。そしてこの情報の多い時代はそれを可能にします。今のフランスを会えて敵対する事なく、はっきりいってしまえばもう興味の対象外としてとらえ、好きな時代のことのみを考えていたい、それが今年の目標です。前述の方のとうり実に多くのフランスの奏者の方が自分のアイダンティティを守るためでしょうか、テヴェを始めとする先輩たちを時代遅れとか古いテクニークとか酷評するかたがたがいます。悲しいことで今まで必死に抵抗してきましたが、今年はそれを止めようと思います。そもそも全く別な事柄であり、あえて言うならば、すくなくてもソシエテ時代のフランスの演奏はいまだ現代の演奏以上に多く聴かれているのです。

コンクルージョン。今年、私はバルボトウ以降のことは興味外とすっぱり切り落とし、私の好きな時代の音楽と「同時代」を行きます。演奏上も私が教わり、愛しているとうりとします。

96年に一度迷いました。アドネが当時29だった僕を特例としてブーローニュ音楽院に入るよう強く勧めましたが、今となってはそうして不本意な道を歩かなくてよかったと思います。

なぜなら私はフランスが好きなのではなく、68以前のフランスが好きなのですから(価値観としてです)!

今年も宜しくお願いします。

237.ギャルド、今昔

投稿者:koba - 2002年01月04日 18時11分04秒

夢中人さんが書かれた通り、2度目の来日で聞かせてくれた演奏(及びそれ以降、現在に至るまでの演奏)は、61年の初来日時の演奏とは全く別物といってもよいくらいに違いましたね。
吉田雅夫氏も放送ではあたりさわりのないことを言っていましたが、後日談ではかなりの酷評、というよりもメチャクチャこきおろしていたようです。

やはり主な要因としては、編成の違い(特に金管群!)が第一、それにブトゥリーの編曲もかなり関係していると思います。
ブラン時代までの編曲は、楽器を重ね合わせることで響きに幅を持たせ、極彩色の「色」を変化自在に表現していたと思いますが(例えばフルートにビューグルやコルネットあたりを重ねる)、ブトゥリーの場合はあまり原曲をいじらずに、ある意味非常にストレートな編曲だったような気がします。
余分な贅肉を殺ぎ落としたような演奏は、ブラン時代までの演奏とは別物として、比較さえしなければ、それはそれで素晴らしい点も多々あると、私個人としてはそれなりに評価しています。

私も2度目の来日以来、全てのプログラムを聞いてきましたが、その度に「昔の演奏に比べると・・・云々」といった話が聞かれます。
ブラン時代の演奏、というよりも「響き」が現在では望むべくも無いだけに、私もそういう人達の気持ちはよく分かるのですが、やはりパリ管にソシエテ時代の演奏を望むこと自体が無理なように、70年代後半以降のギャルドにブラン時代の演奏を望むのも、これまた無意味ではないかと考えています。

また純粋に技術的な点から見れば、ブラン時代の方が必ずしも優れていたとは言えないのではないかと思っています。
何度目の来日かは忘れてしまいましたが、ギャルドのあるクラリネット奏者を招き、中学生向けのクリニックを催す機会があり、主催者が私の先生だったこともあり、クリニック終了後にいろいろと話を聞く機会がありました。
その中で興味深かったのは、ベテランのメンバー(言い換えればブラン時代からのメンバーということになりますが)には音楽的に足を引っ張っている人が結構いる、ということでした。
特にファゴット(バッソンと言うべきか)の主席は音程も悪いし、非常に足手まといになっていると力説していました(あえて名前は出しませんが・・・)。
サックスのダニエル・デファイエがブトゥリー時代初期の演奏を聞いて「現在のギャルドこそ聞くべきだ!」と発言したのは、あながちブトゥリーに対する社交辞令だけではなかったように思います。

ついでながら書くと、今まで生で聞いたギャルドの演奏で最も気に入っているのは、いつもアンコールに用意されているビゼーの「カルメン」前奏曲です。
冒頭のクラリネット・セクションの沸き立つような響きを聞くと、それだけで満足してしまいます(笑)。
あの響きだけは、他の団体では決して聞くことができない、ブラン時代と比べても遜色のない(否、むしろ優れている)現在のギャルドだけが持つ「宝」だと思っています。
またブトゥリー以降の録音で最も気に入っている演奏はといえば、EMIに録音したマーチ集(最初のやつ)に後ろ髪ひかれながらも、ブトゥリーが指揮者に就任後の初録音(確かディスク大賞をとった)に入っていたボロディンの「ダッタン人の踊り」でしょうか。

236.ギャルドの変貌

投稿者:夢中人 - 2002年01月03日 22時29分00秒

木下さんのご好意で1984年ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の来日演奏会のヴィデオを見せて頂きました。この前書きましたように、私は当日NHKホールで「憧れの」ギャルドの演奏をとても楽しみにしていたのですが、あまり印象に残らなかったのです。

ひととおり見終わって、やはり空しいものがありました(木下さん、すみません!)。ビゼーの「アルルの女」の抜粋やドビュッシーの夜想曲から1曲だけ、おしまいはフランス物ではなくてリヒャルト・シュトラウス、とどうもプログラムが中途半端なのに加えて、メンバーが少なくなったせいか1961年に来日した頃の「パイプオルガンのような」ハーモニーが聴かれないのです。もちろん、「ティル・オイレンシュピーゲル」の出だしやアンコールの「熊ん蜂の飛行」はとても素晴らしかったのですが。

番組の解説が元NHK交響楽団、フルート奏者の吉田雅夫さん。吉田さん自身、開演前には1961年の時のプログラムを持ってこられて、大変期待していたようでした。休憩で池田裕子アナの問いかけに対して「良かった」を連発するも、どこか釈然としない様子。

「フランス本来の楽器が少なくなっている。ビューグルやバリトン、コルネットなどのアドルフ・サックスが作った楽器が。そもそもこういう楽器のメーカーがいなくなっている。それに演奏者が職にありつけないので、勉強しない。だからいいプレーヤーが出ない。」

確かにプログラムのメンバー表には、アルトやユーフォニウム、コルネットがありません。

「国際的な編成に近づいてしまった。指揮者のブトゥリーの趣味でしょうが…」

そう。ギャルドはもう特別ではなく普通になってしまった。そして最後にはこう付け加えられました。

「もう少しフランスの匂いをさせて頂きたい。ホルンがね、全部ドイツのホルンを使っている。前来た時はフランスの(ピストン)を使っていたのですけどね。フランスのホルンは音が柔らかい。ドイツのは重い。倍音が沢山出るので、ドイツのホルンを使ってしまうのですね。」

235.吹奏楽の中のホルン

投稿者:夢中人 - 2002年01月02日 17時48分33秒

吹奏楽にもホルンが活躍する曲は沢山あります。なかでもお勧めは?と聞かれたら、私は躊躇なくパレ(ス)の「リシルド」序曲とダリウス・ミヨーのフランス組曲を上げましょう。

パレは申すまでもありませんが、ギャルド・レピュブリケーヌ軍楽隊の楽長で「リシルド」は当然ギャルドの為に書かれたオリジナルです。冒頭、茫洋とした低音の中、ウェーバーの「オベロン」の魔法の角笛に似た非常に美しいホルンのソロがあります。木下さんのトランスファーによる東芝EMIのギャルド大全集第1巻で聴くことが出来ます。曲は格調高く、素晴らしく展開する音楽で演奏しながら感動します。

フランス組曲は、ユダヤ人のミヨーがドイツの侵略によってアメリカに渡り、1944年、もともとハイスクールバンド用に書いたものを1945年6月13日、ゴールドマン・バンドがニューヨーク・セントラル公園野外演奏場で初演。すぐに二管編成の管弦楽曲に編曲して、1947年にはミヨーがニューヨーク・フィルハーモニックを指揮してCBSに録音したといいます。ですから作品目録には「フランス組曲Op.248(ハーモニー・オーケストラまたはシンフォニー・オーケストラ)」とあります。

内容は「ノルマンディー」「ブルターニュ」「イル・ド・フランス」「アルザス・ロレーヌ」「プロヴァンス」で、これまた演奏していて楽しい曲で、EMIにロイヤル・マリーンズ・バンド(指揮ヴィヴィアン・ダン中佐)の名盤がありますが、ホルンの綺麗なデュエットのある第2曲「ブルターニュ」がカットされているのは大変残念。どなたか良いレコードをご存知ありませんか?

ところでこのダン中佐、もともとヴァイオリン奏者でヘンリー・ウッドのクイーンズ・ホール・オーケストラで弾きながら1930年に解散、エードリアン・ボールトのBBC交響楽団に変わってからすぐに軍楽隊の指揮者に転身し、終生をバンド指導に尽くしたと言います。
ミヨー/フランス組曲の名演奏には、ピエール・ビゴー指揮国立警察音楽隊(LA MUSIQUE DE LA POLICE NATIONALE)、デジレ・ドンディーヌ指揮(パリ)警視庁音楽隊(MUSIQUE DES GARDIENS DE LA PAIX)があります。これも木下さんからお寄せ頂きました。

234.フレンチ・コネクション

投稿者:夢中人 - 2002年01月02日 10時21分14秒

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。
年末・年始にかけて、フランスはブルターニュで「演奏家としての作曲家」というホームページ(リンク集に入れました)をやっている人とやりとりをしました。世界各地に知己を得ることは、レコードコレクターにとって「王道」です。

その人にフランスのホルン奏者のレコードをお持ちではありませんか?と尋ねたところ、探してはみるがエラートにありそうだ、ということで幾つかリストを送ってきました。

・ ミシェル・コレット/協奏曲第14番 バルボトゥ、ベルジェス、クールシェ、デュバー
・ ニコラス・シャルル・ボクサ/ホルンとハープのためのソナタ バルボトゥ、ラスキーヌ
・ テレマン/ホルン協奏曲ニ長調 バルボトゥ
・ モーツァルト/ロンドK371 バルボトゥ
・ モーツァルト/ホルン協奏曲第4番 デル・ヴェスコーヴォ
・ デュカ/ヴィラネル デル・ヴェスコーヴォ

ボクサはまだ未聴ですが、昨年リリー・ラスキーヌの全集の中に含まれていましたし、ヴェスコーヴォの4番というのは恐らくパイヤール盤でしょう。でもテレマンは注目です。この曲は、シンプルですがとても愛らしい曲でして、私はペーター・ダームのLPを愛聴しておりました(バウマンやペンツェルのものもあり?)。テレマンにはいくつかホルンのための協奏曲がありますが、ニ長調は、中でも出色です。ホルン協奏曲と言えば、モーツァルトとシュトラウスばかりが有名ですが、テレマンとジェイコブはもっと演奏(録音)されてもいいのでは、と常々思います。
このリストはERATEのCD(4509-94801-2)、「魔法のフレンチ・ホルン(The Magic of The French Horn)」の内容です。ギャルド熱心家、木下さんからお寄せ頂きました。このCDにはもうひとつ、シューマン/4本のホルンの為のコンチェルト・シュテックもあります。独奏はジャン=ジャック・ジュスタッフレ、ジャン=ポール・ガンティエ、ジャン=クロード・バッロ、アラン・クールトワです。この演奏については大山さんの投稿「ウェーバー・シューマン」をご覧下さい。

233.あけましておめでとうございます

投稿者:たくみ - 2002年01月01日 23時01分29秒

あけましておめでとうございます
昨年はこの掲示板でいろいろなことを発見できました。
今年もよろしくお願いいたしますm(__)m

夢中人さま、ありがとうございます。
結局LPは購入できず(予算が足りなかったもので・・・)
いろんな想像が頭をよぎっていましたが、
少しザールのオケが見えてきた気がします。
アブラムのモーツアルトの伴奏も確かザールでした。
これでお年玉がもらえる年齢だったら、LPに手を出していたかもしれませんが・・・

今年はより一層テヴェ氏の音を研究していきたいと思います。
みなさまいろいろとご教授をお願いいたします。

232.遅まきながら発見しました

投稿者:夢中人 - 2001年12月30日 12時07分03秒

今年の5月にたくみさんが中古LPを探されて、ザール室内オーケストラのホルンのメンバーをお尋ねでしたが、今日明石の実家で例によってレコードケースを見ておりましたら同オケによるブランデンブルグ協奏曲のLP(Nonesuch HB-73006)が出てきました。アメリカ盤ですが、録音はCLUB FRANCAIS DU DISQUE, Parisで、ホルンはMartin Oheim、Oscar Wunder、ほかにピエルロやランパルの名前も見えます。ドイツとフランスが入り混じったメンバーですね。

231.ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団

投稿者:夢中人 - 2001年12月22日 19時37分29秒

倉庫整理をしていますと、1984年パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団のプログラムが出てきました。私が行ったのは9月30日(日)NHKホールでの演奏会でのAプロ:バッハ/トッカータとフーガ ニ短調、ビゼー/組曲「アルルの女」よりメヌエット、アダージョ、ファランドール、ドビュッシー/夜想曲より第2曲「祭」、リュリ/国王付き近衛兵行進曲、チャイコフスキー/幻想序曲「ロミオとジュリエット」、ブトリー/ディヴェルティメント(アルトサクソフォーンと弦楽オーケストラのための)/Sax独奏アンドレ・ブーン、シュトラウス/交響詩「ティルオイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」など。コルのメンバーはロラン・ショッソン、アンドレ・ボド、マルセル・サン・ミシェル、ギー・ヴーレイ、ジョルジュ・フォーコン、ジェラール・クートゥレでした。

ところが覚えていることといったら派手な軍服姿だけで、肝心の音楽に関する思い出が無い。折角のコンサートの筈だったのに・・・。但し、今日発掘したプログラムはなかなか面白いです。特にギャルド前史。「三銃士」やナポレオン・ボナパルトの名前も見えます。

ギャルドは近衛兵隊、憲兵隊という立場上、歴史の変化とともに60回以上も名前と組織形態を変えたとか。現在の名前になったあたりから久々ページに追加しました(最初の空白は「前史」用というわけではありません。どうか悪しからず・・・)。

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