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100.北欧とデニス・ブレイン

name: 夢中人 - 2002年08月24日 21時48分43秒

デニス・ブレインは、生涯のかなりの部分を国内外での演奏旅行に費やしました。その若すぎる晩年にあたる1956年10月、ついには北欧を訪れました。同月3日、ノルウェーの首都オスロでオスロ・フィルハーモニー(フィエルスタード指揮) とモーツァルトの3番とシュトラウスの1番、フィンランドに移動して5日にヘルシンキでフィンランド放送交響楽団とシュトラウスの1番、スウェーデンの首都ストックホルムで7日から9日にかけて(?)スウェーデン放送交響楽団(ステン・フリクベルィ指揮)とモーツァルトの2番を演奏、さらには11日エーテボリに足を延ばしました。

10月7日のストックホルム音楽アカデミーでの演奏はスウェーデンのBISが5枚組LP「スウェーデン放送交響楽団50年(1936-1986)」(BIS LP-331/333)に収めており、デニス・ブレインのライヴ演奏を聴ける数少ない正規録音のひとつ。またヘルシンキでの演奏はスティーヴン・ペティットのディスコグラフィーには掲載が無いもののやはり録音されていて、こちらの方は未発売ながら大変優れた音質であると聞いています。

それにしてもデニス・ブレイン。いつものように自ら運転する車で北欧の各地を廻ったかは定かではありませんが、今回も全く強行軍の旅。長駆して帰国後もブレイン・プーニェ・パリー・トリオによる国内演奏旅行、11月になるとホフナング音楽祭、フイルハーモニアや久方ぶりのビーチャム/RPO第9演奏会への出演と生き急ぐような仕事仕事の毎日。それだけ聴く者を驚き感動させる機会が多くあったのは幸いだったと考えるべきか。それとももうちょっと見物をしたりお酒でも飲んで楽しむ時間を持っていたら・・・。

特にBBCL 4066-2 に挿入された写真は、痩せていて目に隈があり、髪の毛さえ薄く見える!


99.AS 356

name: 夢中人 - 2002年08月22日 23時21分48秒

AS 356これは HOMMAGE A' DENNIS BRAIN のジャケットです。裏面に(P)1991-Made in Italy、Production:Andrea Scarduelli、Exective Producer & Digital remastering:AS DISC Technical Department、Notes & Translations:AS DISC Editorial Department、Art Direction:Pier Luigi Fasolin とあります。夢中人が気合を入れてデニス・ブレインのCDを集め出した1993年(平成5年)には店頭から消えていました。都内のレコード店、中古店はもちろん、遠く海外に在庫を照会しましたが遂に手に入りませんでした。発売された当時イタリアの著作権法は、他の欧米諸国よりも保護期間を短く定めていたために放送やライヴ録音を音源とするCDの宝庫といった感がありました。中でもAS discにはフルトヴェングラーやトスカニーニはもちろん、クーセヴィツキーやワルター、ミトロプーロスといったところの他には絶対ない Edition があったことをよく覚えています。

日本でもベスト・セラーとなったこのディスク。何で今頃掲示板に登場かと言いますと、ケル・コレクションを拝見させて頂いた際、何気なくこれだけ無いということをポロッと口にしたのを聞いたシッセさんが「持って行きなさい」とおっしゃる。大体ケルのコレクションだし、自分はもうコレクターは終りにして制作にしか興味がないんですよ、とお断りしたもののまたも「今は私のだから」とおっしゃるシッセさんのご好意と未だ消え去らない物欲に抗し難く頂いて帰ってしまいました。

デニス・ブレインはEMIとDECCAに名盤を残しましたが、そのライヴ録音がいかに凄いかを最初に世に出したのがこのCDで、その後BBCが正規にCD化するまでは放送音源としてはほとんど唯一のものであったし、現在でもカタログに載らない曲のある貴重なもの。実のところ伝記のディスコグラフィーにありますように、デニス・ブレインのライヴ演奏は、イギリス以外にもドイツなどの放送録音に数多く(それもとても良い音質のもの)存在しており、それを発掘(公表)する努力が全くされてこなかった。サー・トーマス・ビーチャムの未亡人シャーリー・ビーチャムとイギリスの Somm、ヘルマン・シェルヘンの未亡人ミリアム・シェルヘンが社長のフランスの tahra 、オットー・クレンペラーの娘ロッテが協力したEMIのクレンペラー・エディションなどどうしても血族の熱意と力が必要なのがこういう事業の常ですが、ロンドンの方では一体どうなっているのやら・・・。

シッセさんに「もうSPレコードの原盤は破棄されていて無いんですよ」と言うと「あら大変」と屈託なく笑われていました。



98.ありがとうございます。

name: 大山幸彦 - 2002年08月21日 18時43分49秒

私は音大は出ていないのでプロではないです。かといって純然とアマチュアとして楽しんだのでもないかもしれませんが。
良い時代に音楽の青春を送られて幸せですね!われわれの世代には
不可解なゲルマニスムがあった、と思います、
またいろいろご教示ください、テヴェ掲示板のほうにも是非遊びにきてください!


97.バルボドゥー

name: CATO - 2002年08月21日 17時20分44秒

大山様はホルン吹きのプロでいらっしゃることを、別サイトで今知りました。私は大山さんより15歳年長で、学生オケで少し一番以外のホルンを経験したのみのド素人です。でも、ホルンセクションに座って演奏しながら経験するベートーベンとかシューマンなどの音響は格別でした。残念ながらウエーベルン、シェーンベルクなんかは経験ありません。今後も、貴重なご意見を楽しみにしています。ご指摘の「re-mi-fa#の形がリピートされます」の箇所を味わおうとしてパッサカリアをかけながらこれを書いています。

 なお、バルボドゥーに習われたとのこと。バルボドゥーは私にとって昔ロッシーニの4(?)重奏を繰り返しきいたことのある懐かしい名前です。あとヴェスコヴォなんかの音色も蘇ってきました。それと、ファゴットのオンニュ。ミュンシュがパリ管で「幻想」を出した頃の管楽器奏者達は私が学生の頃極めて人気が高かったものです。


96.cato様

name: 大山幸彦 - 2002年08月21日 12時52分28秒

パッサカリアの件ありがとうございます。
あの曲は一番もりあがるところで上のre-mi-fa#の形がリピートされます、ホルンの通常音域はfaまでですが。
あの曲とシェーンベルグの室内交響曲にはロマンを感じます。


95.SPレコード無事返却

name: 夢中人 - 2002年08月21日 0時05分10秒

故ケル・モーセン氏のお墓8月17日、デンマークのとある街。拝借していたSPレコードを無事持ち主のシッセさんにお返ししてきました。レコードの件については、ケルなら絶対海外に持ち出したりしなかっただろうこと。昨年日本からの拝借の話が持ち上がった際、シッセさんの周囲はやはり大反対で、最終的にシッセさんが「自分の物」だとして決断したこと、などを伺い感謝の気持ちを新たにしました。

ケル氏のコレクションは「ホルン」を対象として、SP、LP、カセット、ビデオ、本、雑誌が部屋中の棚にアルファベット順できちんと整理されていました(さすが図書館にお勤めの方です)。デニス・ブレインがもちろん最上段でしたが、オーブリー・ブレインやロンドン・バロック・アンサンブルのほか、ジャン・ドゥヴェミー、フェルナン・ウーブラドゥ(ファゴット奏者だったのですね!)などフランス人奏者のものも目立っていました。生前世界各国のホルン奏者とも親交されて、特にスイスのエドモン・ルロワールとは頻繁に手紙の遣り取りをしたものが分厚いファイルとして残されていました。また探求中だったレコードのリストが何枚もボードに貼られいて徹底したコレクターぶりが偲ばれました。

翌日郊外の教会にあるお墓をお参りして、ご冥福をお祈りしました。お墓の周りには日本からやってきた屋久島シャクナゲが植えられていてました。それに元々ロンドンから来たデニス・ブレインのレコードがさらにデンマークから日本に渡って、また無事戻ってきた。レコードは日本でCDとなって今では逆にロンドンで売られている。というようなことを考え合わせ、因縁とは本当にスゴいと帰る道々話しあいました。


94.大山様はじめまして

name: CATO - 2002年08月19日 22時15分30秒

夢中人さんの薀蓄に感嘆しているCATOです。
ウェーベルンのパッサカリアをホルンに焦点をあわせて聞いたことがありませんでした。じっくり試みてみます。私が聴いているのは、ブーレーズ=ロンドン交響楽団の録音です。
ウェーベルンのパッサカリアは、いつもの雑な表現ですが、管と弦のバランスが天才的と前々から思っていました。この後ウェーベルンは、極端に切り詰める方向に行きましたが、パッサカリア路線を拡大しても、とてつもない大家になったことが想像できると思います。


93.ウエーベルン

name: 大山幸彦 - 2002年08月19日 12時04分41秒

のパッサカリアは大好きな曲ですが。ホルンが大変面白い。
私はこの曲で事故のない演奏を聞いたことがありませんが、
さぞかし高名な奏者を想定してかかれていると思います。
情報あれば教えて下さい。


92.伝記を読み終えたところです

name: CATO - 2002年08月15日 17時52分47秒

下の内容を書こうとして、掲示板をのぞいたら夢中人さんの「90」の記載がありました。

1950年にブレインらがシェーンベルクの「管楽五重奏」を二回演奏したことを(ということは、録音も残っている?)、ジャズにも大いに専門的な興味を示していたこと等を「奇跡のホルン」で知ることができました。もし、ブレインが叔父との縁でロスアンジェルスフィルで仕事を得ていたら、51年までカリフォルニアで生きたシェーンベルクにもインスピレーションを与えて・・・。

 この伝記の主体はブレインの演奏活動録の丹念な追跡であり、記載は単調にならざるを得ない本です。しかし、今後ともブレインを愛し、また、掘り出しものの録音に出会える可能性がある限り、座右の書として折に触れて読み返したい貴重な記録です。なお、翻訳ものに往々にしてある、意味をとるのに苦労するようなセンテンスが見当たらない立派な翻訳であることは特筆すべきです。


91.いってらっしゃい

name: 坂本直樹 - 2002年08月15日 15時06分37秒

ヨーロッパの洪水は大変なようですね。
どうぞお気をつけて。また、ブレインの話題をまっています。


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