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 先日ロンドン郊外にあるデニス・ブレインのお墓の写真が送られてきました。ブレインとの出会いや広大でアクセスが難しいと思われる墓標にいかにして辿りつかれたのかをご本人に伺いました。


DENNIS BRAIN
born MAY 17 1921
died SEPTEMBER 1 1957

My call transforms
The hall to autumn-
tinted grove
What is into what
has been....
HINDEMITH




聖地巡礼
 私がホルンというものに興味を持ったのは、ちょうど小学校6年生のときでした。 中学生の兄が吹奏楽部に入っていて、自分も中学校に入ったら吹奏楽 部に入るといつの間にか決めていました。兄はトランペットを吹い ていたのですが、どうしても兄と同じ楽器はいやだったんですね。 それで、同じラッパでもホルンのほうに興味を示すようになりました。 ある日、父に中学校に入ったらホルンをやりたいと打ち明けたところ、「ホルンの音っていうのは こういう音やぞ」、といってCDを一枚出してくれました。今思えばこの CDこそが私とデニス・ブレインの初めての出会いだったわけです。 結局、中学校の吹奏楽部ではホルンをやらせて もらえず、チューバを吹くことになりましたが…。

 念願のホルン吹きになれたのは高校2年生の春でした。その頃になると、 聴く曲もオーケストラが多く、ホルンの有名なソロを探し出しては 聴いていました。そうは言っても、依然として 私の中では「ホルン=デニス・ブレイン」で、他のホルン奏者のホルン協奏曲 を聴いてもどこかしっくりこないという感じでした。 大学に入ってようやく念願のオーケストラでホルンを吹くようになりました。 バイトをして稼いだお金も、惜しみなくブレインのCDに注ぎました。 聴けば聴くほど、ブレインのホルンの音に魅了され、憧れていました。

 大学院2年の秋ごろから、「社会人になって時間がなくなる前に一度は ヨーロッパに行きたい」と思うようになり、卒業旅行として一人きりのヨーロッパ旅行を 企画しました。もし行くんだったら、こうして ホルン吹きになるきっかけを与えてくれ、同時に憧れのホルン奏者である デニス・ブレインのお墓に参らない手はない、と。早速インターネットで デニス・ブレインのお墓参りを実行された森田隆志さんの紀行文を見つけ、 墓地の場所、お墓の番号、生前の住所などを書きとめ、オケ仲間には イギリスへ「聖地巡礼」に行くと宣言して日本を離れました。

 2008年2月26日、私はとにかくこの大きな目的を 果たすためにデニス・ブレインの眠る墓地に向かいました。駅から墓地 までの地図を調べていましたので、墓地までは迷うことはありません。 途中で生前住んでいた家の前を通り、お花を購入しました。ところが墓地についたあと、 肝心のお墓の位置がさっぱり分からず、あちこちをさまよい歩きました。幸い途中で芝刈りをして いた男性にお墓の番号を告げて尋ねてみたところ、目的の場所まで案内していただきました。 (ちなみにこの案内してくださった方、デニス・ブレイン の名前を全然ご存じなかったようでした。)

 実際にデニス・ブレインの眠る場所に来ると、何とも感慨深いものがありました。この ホルン奏者の音との出会いから私のホルン人生は始まったこと、今も こうしてホルンを吹き続けられていること、そして生でその音を聴くことが できない残念さ、これからもブレインのような音楽を目指して頑張るという想い などを英語で...は無理だったので、日本語で報告・感謝・誓いを行って きました。最後にお祈りをして、いつまでもそこにいたい気持ちを断ち切って 帰路に着きました。
2008年11月22日 北村 佳昭



森田隆志さんのデニス巡礼
(2001年8月26日)
http://www.tatami-mat.net/taizaiki/dennis.html

山田淳さんのブレイン家訪問
(1999年6月)
yvonne.html








ブレインの旧宅
青い記念標識

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