デニス・ブレインの車好きは父親譲りでした。レナードとデニスの兄弟はアクスブリッジの空軍音楽隊に入隊したおり、周りも羨むような生活を送っていました。というのも父オーブリーは彼らに毎週10シリングのお小遣いを与えて、それで二人はCPJ285と小さなモーリス8オープンを転がせていた訳です。デニスは戦争が終わるまでにオースチン7、モーガン4-4、21h.p.タルボットを次々と集めました。

1951年、真新しいシトロエン・ライト15を手に入れ1年で3万2千マイル（5万1千キロ！）走らせました。1952年5月、デニス・ブレインはエリザベート・シュワルツコップが買った中古のハドソン（愛称アトランティックライナー）を運転して｢通行止め｣の凍てついたアルプス山脈、ゴッダルドの峠越えを行ったのは有名な話です。

1952年12月、デニスはバンゴールでの演奏会に向かう途中 1939年製12気筒ラゴンダでトラックに追突事故を起こしました。幸い同乗のスティーヴン・ウォーターズともども大した怪我はありませんでしたがラゴンダは廃車となりました。チェリストのボリス・ライケルマンからシトロエンの1938年モデルを買うも、すぐにレナードに売って6気筒のシトロエンを買って終生使用しました。

1954年8月、ヘルベルト・フォン・カラヤンが貸してくれたメルセデス・ベンツ300SLに乗って｢スイスで一番美しい町｣ルツェルンで一家水入らずのときを過ごしました。

1956年6月、デニスは新車、緑色のTR2スポーツNO.SXX3を買いました。あるパーティーでデニスはイギリス空軍に7年もいたのに飛行機を一度も操縦したことが無いことをからかわれました。それに口を挟む人がいて｢デニスは自分の新しいスポーツカーで飛んでいるんだよ！｣・・・